'05 April ●ニューオリンズR&Bのハイライト - Huey "Piano" Smith

Huey "Piano" Smith





Huey"Piano"Smith
Having a Good Time
1959 Ace 1004
サントリー DAKARAの新・CMを見て驚いた。なんと、曲はHuey"Piano"Smith & The Clowns『Don't You Just Know It』ではないか!! TV−CMでヒューイ・スミスが聴けるとは、長生きはするもんだ。
ヒューイ”ピアノ”スミスは50、60年代に活躍したニューオリンズのアーティストだ。

アメリカ、ルイジアナ州、ニューオリンズは「風と共に去りぬ」の時代から人気の観光地であったが、その音楽はアメリカのどことも違う独特のスタイルを育んできた。
Black Bottom Brass Band('04 Oct.)のときにも少し触れたが、その要因としては、かつてフランス領であったとか、奴隷制度とか、南北戦争とか、ハイチからの貨物船(とともにブードゥー教が入ってきた)や奴隷船が最初に着いた港であったとか、バイユー、スワンプ(沼地)が多くある土地であるとかなんとか、地理的な歴史的な諸々の事情が影響している。
そのため、ブラスバンド(セカンドライン)や、フランス系移民(ケイジャン)の音楽など、今も独特の音楽スタイルが生活に根付いているのだ。
映画『ブルース・スラザース2000』の中で、ルイジアナでは沼地にワニがいて、人はフランス語を喋り、魔女が呪いをかけるといったシーンが出てくる。あれがアメリカでの一般的なルイジアナのイメージなんだなと妙に関心したものだ。つまり、ルイジアナはアメリカの中でもちょっと「ヘン」な土地なのだ。

この『Don't You Just Know It』や『Rockin' Pneumonia And The Boogie Woogie Flu』(訳すとロッキン肺炎ブギウギ流感、変なタイトルだ)『High Blood Pressur』などのヒューイ・スミスの代表曲はある意味ニューオリンズR&Bの王道だ。
ヒューイ・スミスはソングライター兼ピアニストで、自身のバンドに様々なタイプのヴォーカリストを迎え活動を行っていたが、中でもBobby Marchanの時期がピークで、これらのヒット曲もこの時代のものだ。
ヒューイ・スミスもまた他のピアニスト同様プロフェッサー・ロングヘアに強く影響を受けているが、あの洒脱な感覚はルイ・ジョーダンからも学んだようだ。
彼の音楽は基本的にはダンス音楽で、多くのニューオリンズR&Bのヒット曲同様、ひたすらユルく(これは間違いなく土地柄)文句なく楽しい、まさしくニューオリンズのイメージそのものだ。


★ヒューイ・スミスが影響を受けたニューオリンズR&Bの巨人、プロフェッサー・ロングヘア、ファッツ・ドミノ、また、ヒューイ・スミスが影響を与えたドクター・ジョンなど、ピアニストを中心にニューオリンズのキラ星のスター達を紹介する。一度聴くとスワンプのごとくズブズブとはまってしまうのは必至(?)だ。


Professor Longhair

≪Professor Longhair≫
ニューオリンズR&Bの創始者、プロフェッサー・ロングヘア。彼の出現以前には今のようなピアノ・スタイルは存在しなかった。カリブ海に影響された、ルンバを取り入れたローリングするピアノとヨーデルのような歌声は誰にも真似できない。残念ながら長髪教授が正当に評価されたのは彼の死後だが、すべてのピアニストに大きな影響を与えた、唯一無二の存在だ。
タイムマシンがあったなら、何をおいてもフェスの演奏を聴きに行きたい。素晴らしい音楽家だ。

Fats Domino
≪Fats Domino≫
ファッツ・ドミノは古典的なニューオリンズスタイルの、リラックスしたブギウギ・ピアノと暖かみのある歌声でレコード・セールスをあげた50年代のスターにして、ロックンロール創始者のひとりだ。ファーストシングル「The Fat Man」(1949)は”最初のロックンロールレコード”のうちの一枚に選ばれている。

Allen Toussaint
≪Allen Toussaint≫
アラン・トゥーサンはミュージシャンとしてより、プロデューサー、アレンジャー、ソングライターとしての仕事においてニューオリンズの音楽シーンに多大な功績を残した。
プロデューサーとして、トゥーサンはセカンドラインのビートにホーンセクションを絡める新しいファンク・サウンドを確立させ、またアレンジャーとしてその活動の範囲はニューオリンズだけにとどまらず、ザ・バンドやリトル・フィート、ポール・サイモンなどの曲を手掛け、世界中の音楽ファンにニューオリンズの存在を知らしめた。
1988年には「Rock and Roll Hall of Fame」入りした。

Dr.John
≪Dr.John≫
ドクター・ジョンことマック・レベナックはニューオリンズR&Bのミュージシャンの中でも一般の音楽ファンに最も広く知られている存在であり、また、ドクター・ジョン(特にアルバム『GUMBO』)によってニューオリンズR&Bを初体験したROCKファンはかなり多いのではないか。
ニューオリンズの音楽世界(と同時に犯罪社会)で育った彼は麻薬トラブルによって一時移住していたロサンゼルスで、ブードゥー教の呪術師を名乗り、サイケデリックな世界とニューオリンズR&Bをミックスさせたサウンドでデビューした。
彼特有のしわがれ声とヒーローであるプロフェッサー・ロングヘアを継承したピアノで現在も故郷ニューオリンズに捧げるアルバムを作り続けている。

【BACK NUMBER】

●TVから'70の風が吹いてくる('04 May)
●トータス松本の『TRAVELLER』を聴こう!('04 June)
●破壊と再構築-AEROSMITH『HONKIN' ON BO BO』 ('04 July)
●Summertime あれこれ ('04 August)
●CMが'文化'だった頃・・資生堂『音椿』('04 September)
●これぞお祭り音楽-Black Bottom Brass Band('04 October)
●美空ひばり JAZZを歌う('04 November)
●フレンチポップスブーム?('04 December)
●最後のロック・フロンティア-The Eagles('05 January)
●Alternative rock'n soul-MAROON 5('05 February)
●珠玉のジャズヴォーカルを!('05 March)
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