'04 November ●美空ひばり ジャズを歌う
演歌の女王美空ひばりがJAZZを歌っていたと聞いたら驚く人もいるかもしれないが、これはけっこう有名だし評価も高い。2枚のJAZZスタンダードのアルバムを出していて、最近TVでよく耳にするノエビア化粧品「ノエビア505」のCM曲「魅惑のワルツ」もその中の曲だ。
しかし、誰がどう聴いても“美空ひばり”という声!まるで「りんご追分」のような歌い出しだ。なにもそんなにこねくり回して歌わなくてもという気もしないでもないが、こねくり回しといえばあのサラ・ヴォーンも相当なものだからまぁいいのかもしれない。

戦後の歌謡曲の歌手でジャズを歌った人は数多いが、雪村いずみや江利チエミが洋風の匂いを漂わせていたのに対して、美空ひばりはどちらかといえば和風。だがそこは女王ひばり、圧倒的な歌唱力でねじ伏せて、隠しようのないひばりテイストで突き進んでいる。

今年は生誕67年??没後15年?の記念かなにかか、特に美空ひばりの特集番組が多いようだが、改めて聴いて思うのは「なんて歌のうまい人なんだ」ということだ。僕の世代は戦後の焼け野原でひばりの歌に勇気付けられたなんてこともないし、ひとりのヴォーカリストとして見ていられると思うのだが、どんな歌だろうが署名刻印付で完璧に歌い上げているのは流石としかいいようがない。
このジャズのアルバムもしかりで、その歌がジャズかというとまぁスウィング感があんまり感じられないのでなんとも言い難いところではあるが、そんなことはどうでもいい。「ひばりが歌うスタンダード」ということだけで、充分味わい深いのだ。


ナット・キング・コールをしのんで
ひばりジャズを歌う

美空ひばり
コロムビアエンタテインメント
COCD-70172

1965年5月、ひばりが28歳の時の録音だ。ナット・キング・コールが歌ったジャズのスタンダードナンバーを集めたアルバムで、うち5曲を英語で歌っている。演奏はひばりのお気に入りだった原信夫とシャープス・アンド・フラッツ。

01.スターダスト
02.ラヴ
03.魅惑のワルツ
04.歩いて帰ろう
05.トゥ・ヤング
06.ペイパー・ムーン
07.恋人よ我に帰れ
08.プリテンド
09.月光価千金
10.慕情
11.ロンリー・ワン
12.夕日に赤い帆




ジャズ&スタンダード
美空ひばり
コロムビアエンタテインメント
CA-4545
こちらはジャズのほかにシャンソンなどのスタンダードナンバーを集めたものだ。どうやら録音された年代はばらばらのようで、16歳のときの録音のもの(03.上海)も含まれている。

01.虹の彼方に
02.ラヴ・レター
03.上海
04.恋人よ我に帰れ
05.アイ・ラヴ・パリ
06.ばら色の人生
07.セ・マニフィック
08.クライ・ミー・ア・リヴァー
09.スターダスト
10.アゲイン
11.ダニー・ボーイ
12.愛さないなら棄てて
13.ブルーベリー・ヒル
14.A列車で行こう
15.愛のタンゴ
16.慕情

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