"SoundPooL Vol.9" は、先に発売された"Vol.7"と同じく、２０世紀の後期にテレビ放映された懐かしの主題歌をターゲットにしております。"Vol.7"が男の子向けテレビ番組としたのに対し、"Vol.9"は女の子向け番組の定番「魔法少女」アニメの主題歌に焦点を当てました。

魔法少女モノの原点は『魔法使いサリー』（1966年）『ひみつのアッコちゃん』（1969年）が原点であるといわれています（出典1）。

上記２作ともに東映動画（現東映アニメーション）が制作し、音楽は作曲家小林亜星氏が担当。初期の魔法少女モノは東映動画が主導したと言っても過言ではないでしょう。

当時の他のテレビ番組と同様に、テレビという新しいメディアで新境地を開いたいわゆる“職業作曲家”たちが個性的で親しみやすい主題歌を生み出してゆきました。

主題歌の本来の目的である“歌いやすさ”や“覚えやすさ”が追求されると同時に、“女児向け番組”というそれまでにない明確なコンセプトゆえか、女の子らしさに徹底した楽曲が多く、ヒーローものなど男児向け作品との音楽指向の差は歴然としていました。

その傾向は、ハープ、グロッケン（鉄琴）、ピチカート、フルートなどの音色を多用していることなどからも伺えます。特にハープは、魔法の美麗なイメージを表出するには必須のアイテムであったことでしょう。

こうした音楽的な背景に、前川陽子さん、堀江美都子さんといった歌手たちの魅力的な声色と抜群の歌唱力とが相まって、日本の魔法少女系アニメ主題歌の音楽感が形成され定番化してゆきました。

７０年代中頃からは、『魔女っ子メグちゃん』（1974年）のような、単に“可愛らしい”だけではなく、“かっこよさ”や“スマートさ”を指向するストーリーのアニメも登場し、主題歌もそれに合わせてアップテンポなもの、ポップス系・ロック系の要素を取り入れたものが作られるようになりました。

８０年代に入ると、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』（1982年）や『魔法の天使クリィミーマミ』（1983年）などが登場。シンセサイザーが多用されるようになり、主題歌を構成する音色の幅も一気に広がりを見せます。また、歌手もベテラン一辺倒から声の萌え度に重点を置いた選定が試みられ、新人歌手や声優が歌う作品も多くなりました。以降、かつて定番として形成されていた音楽的特徴は段々とうすれてゆき現代に至っている感があります。

"SoundPooL Vol.9" では、７０年代中頃から８０年代初頭までに放映された魔法少女アニメ主題歌の典型例を研究し、それら音楽的特徴に基づいたデモソングを３曲制作し部品化いたしました。

（出典1）キネマ旬報別冊『動画王 vol.02 スーパー魔女っ子大戦』

（禎 清宏）

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注1）MusicMakerは、Magix computer products international 社の登録商標です。

注2）SoundPooLは、Magix computer products international 社の登録商標です。